氷の華
人の言葉を信じれない所か、氷藤社長は最初から他人を信用してないんだ。


「そんな事まで言わなきゃいけないんですか?」


いくら働かせて貰うからと言っても、そんな事は完全なプライベートの話しじゃない。


プライベートまでお店に縛られているみたいで、なんだか納得出来ない。


「良いですか蘭さん。当然なんですが、営業時間外にお店は閉まってますよね?その間は、私とマネージャーとチーフマネージャーの携帯で連絡を取ります。そのキャストに彼氏などが居た場合は、他の男からの電話だと疑われる恐れが有りますから、こうしてお聞きしてるんです。」


諭すような柿沢店長からの言葉に、納得せざるを得なかった。


「それに、彼氏や家族には内緒で働いているキャストも居ますから、そういうキャストには、私達も気を付けて電話しなくてはなりませんので。」


これはキャストの事を考えての質問だったのだと理解すると、反抗的な事を言った過去の自分を恨めしく思う。


高校を卒業してからは、お母さんが亡くなってバタバタしてたから、彼氏を作る時間すら無かったんだよね。
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