氷の華
「今は、彼氏を作ってる場合じゃないですから。」


恥ずかしいのを我慢しながら、核心をオブラートに包んで言えたつもりだけど、この二人なら私の考えも見透かしていそうな気がする。


感情を映さない、その氷の瞳で…。


「今の住まいはアパートか?それともマンションか?」


なにかしらのリアクションを求めていた訳じゃないけど、こうも平板な口調が続くと、私まで感化されそうで怖い。


私も氷藤社長や柿沢店長のように、感情を無用の物だと押し殺すようになるのだろうか。


「住まいは、小さい頃からずっと住んでるアパートです。」


こんな質問にも、隠された意味が有るのかな。
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