氷の華
化粧だけじゃなく、ラインストーンを付けたマニキュアも、それに合わせたペディキュアもだけどね!


そんな思いが募り、心の中では氷藤社長に向かってイーッて歯を見せてるよ。


「あぁ、それと、今付けてるその香水は鈴蘭か?」


心の中で見せていた歯を慌てて仕舞い込み、ドアノブにかけていた手を離して、デスクの方を振り返った。


…こっち見てないし。


氷藤社長がこっちを向いていなくても、作った笑顔は崩さなかった。


「はい、小さい頃から大好きな匂いなんです。源氏名の蘭も、胡蝶蘭からじゃなく、鈴蘭の蘭から貰ったんです。」


「そうか…もう行って良い。」
< 63 / 270 >

この作品をシェア

pagetop