氷の華
だがそれは、逆に言えば俺の教えが柿沢の中で生きている証となる。


柿沢に商売のノウハウを教えないのは、野心を持たさない為だ。


新しく手に入れた力を使ってみたくなるのが、人間というもの。


一つの会社に、頭は二つ要らない。


柿沢が商売に走る事は、俺を裏切る事を意味している。


だから教えるつもりはない。


「浪花節…ではないですよね?」


柿沢の声が、こめかみ部分を刺激した。
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