氷の華
拾ってから十年が経ち、仕事とは仕事とと完全に割り切っている声だ。


新店舗予定地の近くにある、[ルージュ]と[whiteーcastle]の二件。


[ルージュ]の方は兎も角として、[whiteーcastle]は[黒谷カンパニー]の系列店だ。


今は…という事は、新店舗オープンの時期に何かを狙っているのだろうが、目と鼻の先にライバル社の系列店が顔を出すのだから、あの黒谷が指をくわえて見ているはずがない。


そんな事は最初から予想済みだ。


「悟られないように遊んでこい。尤もお前の素性がバレても、ウチは無関係だがな。」


「へへへ、分かってますよ。」


[whiteーcastle]のトイレに居る辰巳との通話はそれで終わり、携帯を内ポケットに戻した。
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