氷の華
「は〜い、ちょっと待って下さい。」


玄関で一度深呼吸して、ゆっくりとドアを開いた。


「蘭さん、お早う御座います。」


普通ならこれから寝る時間にも関わらず、柿沢店長は眠そうな様子など見せずに、玄関の前で立っていた。


お店で見た時とは違い、ノーネクタイでYシャツのボタンを二つ開け、黒いスーツの上に茶色のコートを着た柿沢店長。


一見すると、仕事の出来るサラリーマンみたい。


「あ、お早う御座います。」


「じゃあ行きましょうか。」
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