太陽に手を伸ばしても




「みんな陸に協力してやってほしいんだよ。あっ、千夏のやつ、もう戻って来やがった」






僕の小さな決意は、なぜか必要以上に重大になろうとしている。







「先生が、もう出発していいって!行こー!」
 

小学生のころはおとなしかったのに、いつの間にこんなに太陽みたいな明るい存在になったんだろう。



今日のキーパーソンであり、この班の班長、千夏の登場だ。




「新幹線の出発時間の一時間前には集合らしいから、急ごう!」


「オッケー!!道順のことなら、任せてー!!!」


かえでもいつも以上にノリノリだ。






ただ、道順のことよりも智己がどんな作戦をたてていたのかが気になって仕方がない。 


僕はみんなと一緒に駅のホームを歩きながら考えていた。





どうせ智己のことだ。

意図的に僕たちをはぐれさせ、むりやり二人っきりの空間を作らせたりするのだろう。

別に僕はそこまで徹底するつもりはなかったのだけれど。




そんなことを一人でぼうっと考えていると、ポケットの中で携帯が震えた。




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