太陽に手を伸ばしても
「いや、なんかせっかくの修学旅行なのにみんなして携帯見てて寂しいなーって」
それもそのはずで、千夏以外の僕たち5人は同時に携帯を取り出して凝視していたのだ。
千夏が寂しがるのも無理ないよな。
華々しいチャイム音がなって、電車がホームに着いた。
そろって乗車したところでまた携帯が震える。送り主はさっきと同じく、智己だ。
『とりあえず昼飯までは普通に観光して、集合時間の一時間前くらいに決行しまーす!それまでにおみやげ買っといて下さい!!』
ふう、と息をついて携帯をポケットにしまう。
6人1列、奇跡的に座れた電車の座席で揺られながら僕はそわそわする気持ちを押さえられない。
とりあえず、昼ごはんまでは普通の修学旅行を楽しもう。
今日は今日でよかったと思えるくらい、楽しい思い出をいっぱい作ろう。
僕が頑張らなきゃいけないのは、その後からの話なのだから。