太陽に手を伸ばしても



「じゃ、行ってきまーす」

「じゃ、俺、ちょっとトイレ行ってくるわ」

そう言葉を交わして二人は同時に席を立った。




「…あの二人、くっついちゃえばいいのにね~!」

二人が遠くに行ったのを見送りながら、千夏が小声で話し出した。



「そ、そうか?いやー、考えたことなかったわ」


「うん、絶対、いけるよ、あれは!」


千夏とこういう恋愛絡みの話をしたのは本当にひさしぶりのような気もする。

横を見ると、あいかわらず智己は携帯をいじっている。




「千夏ちゃんはさ、涼くんとかどう思う?」

「え!?待って、それ、どーゆー意味!?」


突然の栗本さんの質問に千夏が妙に戸惑っている。




てゆーか、栗本さんも何聞いてんだよ。
僕に協力してくれるんじゃなかったのか。
どうして涼なんか意識させてんだ。


「でも、かっこいいよね~、なんかクールで硬派っぽいのに意外と気さくそうなところとか」


戸惑ってた割に冷静な分析。

さすが、実際に中身もクールで硬派の頼斗が好きな千夏だ。




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