太陽に手を伸ばしても


「クールで硬派、いいよねえ」

千夏が繰り返す。


「クールで、硬派、」



クールで、硬派……。
僕には全くない要素だ。

クールで硬派… 





ぶっ、

と、携帯をいじっていた智己がこらえきれなくなったように吹き出した。


「お前ら、クールで硬派どんだけ連呼すんだよ」


「ふふっ、女子なんてこんなもんだよねー!!」

ねー、のところで千夏と栗本さんは同時に首をかしげる。




そこのところだけ見て軽く愛想笑いをすると、智己はまた携帯に目を戻した。
携帯を覗きこむと、何かの地図を見ているようだ。





「あれ?ナゲットまだ?」

トイレから涼が戻ってきて千夏の前に座る。


栗本さんの方を見てにこっ、と笑う千夏。

栗本さんは、それに答えるように、首をすくめてほほえんだ。




何なんだ、これ。
急に涼が極端に脚光浴びてるけど。

もういっそのこと、涼が誰かにコクった方が盛り上がるんじゃないだろうか。



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