太陽に手を伸ばしても
「おまたせ~」
かえでがトレイにナゲットを載せて戻ってきた。
「おう、ありがと」
「このあと、どうする?お土産屋さんだったっけ??」
「そそー!!何なら、ナゲット食べながら移動するか」
「それでもいいならそうしよっか」
涼とかえではナゲットを手に持っておもむろに立ち上がる。
僕も置いてあったリュックを持って立ち上がった。
智己はまだ携帯を見ていた。
首をポキッと垂直に折って、鼻先は画面からの光で青く照らされている。
なんか、すごくのめり込んじゃってる。
そんなに何を調べることがあるのだろうか。
僕たちの作戦なんて、ただ歩いて、ただ単にはぐれるだけなんだけど。
「おーい智己、もう次行くぞ」
「ああー」
携帯からやっと目を離したと思ったら、この曖昧で冴えない返事。
さすがにみんな、笑ってしまった。
「智己、ぼーっとしすぎだろ」
「ああ、いや、ごめんな~」
横を見ると、事情を知らない千夏だけが、どこか不満そうな顔をしていた。