太陽に手を伸ばしても







ハンバーガー店を出て、たまたま入ったお土産屋さんは、いわゆる女子向けのお店だった。

ちっこい袋に小分けされたカラフルなあられとか、ごてごての飾りが付いた香水とか、こまごまとしたお土産ばかりがところ狭しとならんでいる。





「正直ここには欲しいものねえなー」


店内をきょろきょろ見回しながら、智己が不満そうに呟いた。

そういえば携帯から目を離した智己を久しぶりに見た。




「僕もなんもいらないわ」

「だよな、そーいやー、涼は?」

「まだ外にいる」


涼はかえでに押し付けられたナゲットを店の前で急いで消化しているらしい。



ふぁー、と思わずあくびが出た。 

「退屈だなぁ」



そうこぼしたとき、



「りくー」

店の奥の方から千夏の声がする。




「ん?」

「これとこれ、どっちが似合うと思う?」


目の前に出されたのは、2つの小さなピン止めだった。




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