太陽に手を伸ばしても



「あー食った食った」

ガラスのドアを押しながら、涼が店の中に入ってきた。




「お前はいつの間に大食いキャラになったんだよ」

「ほんとそれ。でも、もう当分ナゲットはいらないわ。で、買い物済んだ?」

「ここには俺たちの欲しいものはないわ。な、陸」

「ああ」

「やっぱ俺らは食い物欲しいよな~」



僕たち男子がそんなどうしようもない会話をしているうち、女子たちが戻ってきた。

そのまま店を出て通りの方へ向かう。


歩きだすと、智己がまた携帯をいじり始めた。
それに気づいたみんなも、それとなく自分の携帯を気にしはじめる。



…あれ?

なんとなくみんなの動きにつられたのか、千夏もバッグから携帯を取り出した。



「ん?」

千夏と目がばっちり合う。
じろじろ見てたのバレたか。





「どうかした?」


「いや、特に」




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