太陽に手を伸ばしても



「ねえ、見て、こんなのも買ったんだ」

千夏はそう言いながら、さっきの店のビニール袋から小さなストラップを取り出した。



小さい鈴が付いていて、持っているだけで歩く振動でちりんちりん、と音を鳴らした。


「もう着けちゃおうと思って」

そう言って千夏はケースの小さい穴にストラップのひもを通し始めた。



なんだ、そんなことか。

みんなが携帯ばっかりいじってるのを怪しんてたわけじゃなかったみたいだ。






「これ、…陸にあげる」



「え?」



「私のと色ちがいの。これも、さっき買ったの」


千夏は、まるでお釣りでも渡すかのような手つきで、僕の手にストラップをのせた。





ちりん、ときれいな音がした。


心臓がとくん、と鳴ったような気がした。






「いいの?」

「幼なじみの仲なんだよ?私たち。受け取ってよ」


幼なじみ。そこばかりやけに耳についてしまう。


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