太陽に手を伸ばしても




「これ、お返しだから」

急に千夏が不可解なことを言い出す。



「なんの?」


「陸にもらったストラップの」


「そんなの、あげたことあった?」


「小6の時。覚えてない?」




「覚えてな………あ、思い出した」





思い出した。

「いや、あれはただ引っ越すときにみんなに配ったやつだよ」


「でも、私にはストラップくれたじゃん?あれ、みんなに配ったって言ってたけど、違ったんだよね?あとで智己に言われて知ったんだけど。

…あの時のお返し、ってことで」





あの時の思い出が急によみがえってきて、顔から火が出そうに熱くなる。



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