太陽に手を伸ばしても





「あ、あと中井さんは?ピアノうまいらしいから。キーボードとかできるじゃん?」



智己は休む間もなくつぎつぎに案を出していく。







「てゆーかお前ギター弾けんの?」


「うん」



「え、ええっ?まじかよ。いつの間にそんなオシャレな奴になってんだよ!!」



「いや、大阪にいたとき、始めたんだよね」


「ちょっと待てよ。置いてくなよ。勝手にモテる奴に生まれ変わるなよ」


「ギター弾けるくらいでモテないから」


「そうだ。お前惨敗だったわ。...かわいそうに!!!!」






正直、ギターを始めたのなんて、ただ単に引っ越してきたばかりの時に遊び回る友達もいなかったからって理由なんだけど。

でも、今になってみれば、あの時始めてほんとうによかった、と思う。



もしあの時ギターを始めてなかったら、今回の文化祭なんてやること何にもなくて、ほんとの本当に退屈だったかもしれないから。
    



新しい友達と智己と千夏と僕。




高校2年の文化祭、今までは何をやっていいかわからなかったけど、少しでも楽しみなことが見つかった気がして、嬉しくなった。




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