太陽に手を伸ばしても
「てゆーか、ほんとびっくりしたんだけど。智己があんな訳わからんこと言いだしたからさ。そーいえばさ、陸くん、なんて言ってた?OKだったでしょ?」
「O…K…??」
「え?付き合って下さい、って、まだ言ってないの?」
「い、言ってない...」
「え!?向こうも言ってきてないの!?」
「うん、言われなかった」
「智己ぃー!!こいつらまだ付き合ってないんだってさ!!!」
近くで私たちの会話を聞いていた涼が、陸に絡み続けていた智己に向かって叫んだ。
「え???」
こっちを見た智己は目を大きく開いたまま、動きを止めた。
「こいつらほんとアホだわー!!!まじ、バカップルかよ!!」
「いやいや、それ、バカップルの言葉の使い方間違ってるから」
「どっちから言う?付き合って下さい、って」
困った私は陸の方を見る。
陸も同じく困り顔で私の目を見返した。
しばらくの沈黙が流れる。
「あー!!やっぱりこいつらイライラする!!!」
「ちょっと待ってよ」
「待ちたくねーわ、こんなバカップル!!!お前ら一生別れるなよ!!!」
こんな他愛もない言葉が飛び交う中、私たちはもみくちゃにされながら駅へと向かっていった。
fin.