太陽に手を伸ばしても



「わかった」


「よし、じゃあ決定だーっ!!」

智己がおかしいくらいに景気よく叫んだ。



こんなにあっさり決まるもんなんだ。
て言うか、こんなに簡単に決めていいんだろうか。


結局、頼んだ料理も何も運ばれてこないうちにみんな決まってしまった。
まぁ、誰も別に困ったりしてないんだし、それでいいのか。




「あのさ、」

そう突然切り出したのはさっきの栗本さんだ。



「あのさ、誰かに、一緒にハモってほしいな」

「ハモってほしい?」



「いや、あのね、別にそんな大げさなものじゃなくていいの。
なんか、こう、一緒に歌うと音に厚みが出るじゃん?私、あれ、やりたいな、って」


栗本さんは、何かモコモコしたものを形づくるように両手をふわふわ動かしながら、少しずつ控えめそうに話した。





「それ、めっちゃいいじゃーん!!やろやろ、誰かやる人いなーい??」



中井さんが身を乗り出した。

が、すぐに僕の方に向きを変えた。



「陸くん?やりなよ?ハモり」




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