太陽に手を伸ばしても
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「…まだかなぁ」
たいくつで仕方のない僕は、夜の色が濃くなりはじめた空を見上げた。
今日の練習はいつもより少し早めに終わったはずなのに、空はもうすっかり暗くなっている。
部活が終わってみんなが帰って行くなか、僕はクラブハウスの前でぼうっと千夏を待っていた。
千夏が僕に何か相談したいことがあるらしくて、一緒に帰ることになったのだ。
でも千夏は全然姿を現さない。
きっと今日も生徒議会とか文化祭の準備とか、ふだん以上に忙しくしているんだろうな、と思う。
だけど、相談したいことって一体何なんだろう。
やっぱり私バンド入りたいんだけどまだ入れる?って話ならめっちゃ嬉しいんだけど。
6人編成ってちょっと多いような気がするけど、別に多い分には問題ない。
何より僕は千夏に入ってもらいたい。
反対に、
頼斗に告白してもいいと思う?
なんて聞かれたら。
間違いなく、僕は撃沈だ。
僕のこの恋は、一瞬にして終わってしまう。
だって、あの二人が両思いなのはもう確定事項で、あとはただどっちが言い出すのか、もう時間の問題なのだから。