太陽に手を伸ばしても
そんなことを考えているうちに、
「待たせてごめん!」
と、後ろから千夏の声が聞こえた。
「議会、おつかれさま」
「ごめんね、今日も部活出れなくて」
千夏が顔の前でぱちん、と手を合わせた。
「じゃあ、帰ろっか」
僕たちは歩きだす。
千夏と一緒に帰るのなんて何年ぶりなんだろう。
僕たちがまだ小学生だったころは、寄り道しながら大騒ぎして帰ったっけ。
だけど、そんなときも、千夏は騒いでる中心には入らずに、微笑みながら横に並んで歩いていた。
あの時よりも僕も、千夏もずっとたくさんちゃんとした言葉を話すようになったはずなのに。
どうしてだろう、なぜか僕は今の千夏との間に、どうしても距離を感じてしまう。
なんでなんだろうなあ。
あの時の千夏と違うから?
住む世界が違うからか?
でも、こんなことを考えているのは僕だけなんだろうな。
「そうそうそう、例の相談なんだけどね、」
校門を抜けるとすぐに、小声で千夏が切り出した。