太陽に手を伸ばしても
「うちの学校、わりにマジメな競技が多かったんだよね…だからさ、こーゆー要素、意外となかったんだよね」
「そうなんだー」
「さすが関西人」
と、千夏は僕を見て笑った。
意外にも僕の話が役立ったみたいでよかった。
千夏も知っている通り、僕は関西人ではないが。
しかしそんな気楽な気持ちで話していられるのもつかの間のことだった。
「頼斗もきっと喜んでくれるだろうなー」
出た。頼斗の話。
「頼斗と、最近どーなの?」
間が持たないような気がした僕は、気づいたら別段知りたくも聞きたくもないようなことを聞いていた。
「あー、頼斗ね、」
千夏は少しだけ斜め上を見上げて言う。
「そうそう、そうだった、そのことでもういっこだけ、陸に話しておきたいことあって」
僕はなぜかピンときた。
これはかなり嫌な流れに向かおうとしている。
なんとなく、そんな気がする。
ひょっとして僕は、僕にとって都合の悪い相談を受けようとしているのではないだろうか。
いや、ひょっとしてではなく確実に話は僕が恐れていた「例の」方向へ向かおうとしていた。