太陽に手を伸ばしても
「お前さあ、千夏が告白する前に言っちゃったらどうなんだよ」
「…は?」
「だからさあ、千夏が頼斗に告白する前にお前が先に千夏に告白するんだよ」
「智己、どうした」
「よし、お前バンド発表ん時にコクれ」
智己は勝手に一人で話を進めていく。
「嫌だよ」
「いいや、はい、決定」
智己はさっきの僕の話を聞いていなかったのだろうか。
「失礼しまーす」
ガチャン、とドアが開いて、涼が顔をのぞかせた。
後ろに中井さんと栗本さんもいるみたいだ。
嫌なタイミングで来るな、この3人。
「よお、みんな」
立ち上がった智己が3人に向かって呼びかける。
「陸に、ちょっと力を貸してくれないだろうか」
智己は妙に神妙な顔を作って、意味ありげにうなずいた。
やばい。これはかなりまずい。