太陽に手を伸ばしても







「めっちゃ盛り上がってたよね!さっきの借り物競争!!」


千夏はいつも以上にハイテンションだ。


「あいかわらずナス志が面白いとこ持ってくよな」


「みんなめっちゃ笑ってたしね。ほんと借り物競争やってよかった!!」


陸のおかげだよ、と笑う千夏にドキッとするような、ホッとするような。

千夏は僕が予想していた以上に元気そうだった。
じゃあ何を予想してたのかって言われるとちょっとよくわかんないんだけど。



クラス対抗リレーに出るのは僕と千夏を含む四人。
リレーのひとつ前の綱引きが終わるまで、僕たちは出番を待つ長い列の中にいた。


昼休みが終わってから運動場は急に暑くなって、ときどき吹き付ける熱風に混じる砂粒が、いちいち首にまとわりつく。



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