太陽に手を伸ばしても
係の人から声がかかって、僕たちリレー出場メンバーはトラックの真ん中へと移動した。
僕のスタート地点とちょうど反対側から走り始める千夏とはここで一旦お別れ、だ。
「千夏頑張れよ、第一走者!」
「陸も!転ばないでね~!」
「転ばないってば!千夏も転ぶなよ!」
あははは、とこっちを振り返って笑いながら千夏はスタートラインの方へ歩いていった。
僕も、早く定位置につかなくちゃ。
頭にかけたままのタオルを外して首にかけると、僕も、僕のスタートラインに向かって、千夏とは反対方向へと歩きだした。
そうだ。
このままで、こんな会話を交わす関係のままで、ずっと僕たちいられたら全然いい。
智己もそう思わないだろうか。