太陽に手を伸ばしても




でも、そんな漠然とした気持ちだったからこそ、心の準備ができていなかったんだ。

いや、心の準備なんていうレベルの話じゃない。




僕は、栗本さんに告白された。



千夏を好きな僕の背中を押してくれた、
あの優しい栗本さんに告白された。




写真を撮り終わって、喉が渇いてきたから自販機にお茶を買いに行こうと校舎に入ったときのことだった。



「り、陸くん!!」


と、後ろから声がした。


振り返ると、息を切らした栗本さんが昇降口を背にして立っている。


「あのね、陸くん、聞いてくれるかな?」

走ってきたのか、汗びっしょりだ。



「、うん」




「本当に突然になっちゃうんだけど………、私、…、陸くんが、好きです」




僕は驚きのあまり、言葉を失ってしまった。

こっちを真っ直ぐに見てくる栗本さんの目には、今までの栗本さんにはない意思の強さと、ほんの少しの寂しさがあった。


「く、栗本さん」


「いいの、何も言わなくて」


「僕さ、」


「わかってる、大丈夫」


栗本さんは僕にしゃべらせようとしない。
何かの言葉を聞かないようにするみたいに。

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