太陽に手を伸ばしても
たしかあれは3日くらい前の学校の帰り道、俺が駅のホームで電車を待っているときのことだった。
「あっ、智己くん」
と、後ろから声をかけられて振り向くと、声をかけてきたのは栗本さんだった。
ちょうど電車がきたので、俺は栗本さんと一緒に帰ることにした。
ドアが閉まって、静かに電車が動き出すと突然栗本さんは、
「陸くんから、話、聞いちゃったよね」
と聞いてきた。
「うん、まあな」
「変だと思った?」
…変だと思った、??
まさかそんな質問が飛んでくると思ってなくて、ちょっと驚いて栗本さんの方を見た。
栗本さんはつり革に手をかけて、ファッション誌の吊り広告をぼうっと眺めている。
こんな衝撃的な質問を発したばかりの表情にはとても見えない。
「…俺は変だとは思わないよ。陸だってさ、ああやって、他のやつのことが好きな千夏に告白しようとしてたわけだし。千夏だってそうだろ。彼女がいる頼斗に告白してた。
…あ、でも千夏は違うか。うまくいくと思ってたもんな」
「そっか、ありがとう」
「え、どーゆーこと?」
「いや、なんかちょっと楽になった」
「だって、陸も栗本さんも考え方同じだろ?」
「…ううん」
「え?」