太陽に手を伸ばしても
「…陸!!!」
俺と千夏と、他の部員たちが叫んだのはほぼ同時だった。
「陸、陸しっかりしろ!」
俺が必死に呼びかけても、揺さぶっても陸はびくとも動かない。
頭が真っ白になっていく俺の汗がぼたぼたと、陸のヘルメットにしたたり落ちる。
「誰か!!陸が、陸が急に」
もう少しで全部うまくいくところだったのに。
陸が投げて、陸が打つ、陸のための、陸が一番かっこいい試合だったのに。
こんなところでまた足止めなのか?
…足止めどころで済まなかったら、どうしよう。
周りにいた人がみんな、吸い寄せられるように集まってきた。
俺はただ、そこに座りこんでいるだけで何もすることができなかった。