太陽に手を伸ばしても


 


「陸!大丈夫かー!」




カーテンの向こうから声がする。

智己たちだ!!


ちゃっ、とカーテンが開いて智己やナス志たち星ヶ丘ナインが姿を現した。





「陸ー!!生き返ってよかったぜ~!!てっきり死んだかと思ったじゃないかよっ!!…このベッド気持ち良さそうだな、失礼しまーす!!」


そう言ってナス志がベッドにダイブしてくる。


「ちょい待てよ、重い重い」


「死んだかと思ったとかさー、お前さすがに不謹慎すぎるからやめろよ、今回はさすがに現実味あったわけだしさ!」

と、ベッドからナス志をはがす智己。



「現実味とか一番不謹慎だな、あんなことで死んだりしないから!」

笑うみんな。だけど、僕はまだ大事なことを聞けていない。





 
「そういえばなんだけどさ、」


僕が何を聞こうとしているのかが伝わってきたのか、みんなの表情に一瞬、ぴりっと緊張感が走る。


智己があのな、と険しい表情で切り出したその時、





「ごめんなさい!!」

と、奥の方から野太い声が聞こえた。



声を上げたのは、ピッチャーの1年生だった。

「ぼ、僕のせいなんです!」

1年生の後輩は、日焼けで赤くなった鼻をさらに赤くして、涙を流しながら顔をゆがめた。




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