太陽に手を伸ばしても





「まあたぶん大丈夫っしょ」




なんかだいぶ強がってしまった。
そして、だいぶぶっきらぼうな言い方になってしまった。

大丈夫とか、正直一ミリも思ってない。
でも、千夏の前だけでは弱音なんか吐きたくなかった。





しばらく、僕と千夏の間に沈黙の時が流れる。


思っていることを必死に隠そうとすると、言葉って自然と出てこなくなるのかもしれない。




「…なんか食べたいものある?私、今からそこのコンビニ行こうかと思ってるんだけど」



「うーん…」

思うように頭が動かない。

考えるようなふりをして、沈黙をなるべく埋め合わせるようにする。


千夏はこっちをじっと見つめて待っている。

こんなに見つめられて、普段ならどきどきするはずなのに、なぜか今日は何とも思えなかった。





「ポカリ飲みたいかな」

おっけ、と千夏は笑顔で言ってひらりと立ち上がると、病室からいそいそと出ていった。





はあ。


思わずため息が出る。




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