太陽に手を伸ばしても








「きみも、もしかして高校生?」



そう突然声をかけられたのは、朝から続いていた検査を一通り終えて、図書室でひまをつぶしていたときのことだった。





「そう…ですけど」

警戒心たっぷりに声の主を見る。


声をかけてきたのは、僕よりもずっと大人びた感じの、黒髪のきれいな女の人だった。
きみも、と言ったということは、この人も高校生なのだろうか。

いやいや、とても高校生には見えないけれど。




「え、…あなた、高校生、なんですか?」


「そう、高校生だよ」



タメや年下にはどう考えても見えないから、おそらく高校3年生なんだろう。


さばさばとした話し方。
高校生には見えない、大人びた出で立ち。

そんな彼女に得体の知れない威圧感を感じて、僕は手に取りかけた本を本棚に戻してしまった。

そもそも一度も見たことない、まったく知らない人だ。
一体何の用で声をかけてきたんだろう。


いや、ひょっとして実はどこかで会ってたりした、なんてことあるのだろうか。



「あのさ、突然なんだけど、1つ参考程度に聞いていいかな?」

僕の返事を待たずにその人は続ける。




「高校生くらいの男子って、付き合ってる彼女が一方的に音信不通にしてきたら、どう思うかな」


「すごく心配に…なり、ます」


「彼女の方から振ってたとしても?」



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