太陽に手を伸ばしても
その様子を見てこらえきれなくなったように女の人は吹き出した。
「1回敬語で話しちゃうと、敬語やめにくくなる感じ、わかりますか?」
「いや、だから、それ!それだってば!ほんとやめてよもう!!!」
女の人はおかしくて仕方がないというように、僕を指差して笑い出す。
僕もつられて笑ってしまう。
昨日の夜からずっとこわばっていた頬の筋肉が久しぶりに緩んで、変な笑い方になっている気しかしなかったけど、それでも笑い続けた。
「そういえば、彼氏と何かあったんですよね?」
「また敬語?しかも、なんか、その聞き方、失礼!!距離の詰め方おかしいって!!」
そうやって僕たちは手に持ったジュースがぬるくなるのにもしばらくは気づかずに笑い続けていたのだった。