太陽に手を伸ばしても
そうしているうちに、ミカの心はどんどん小さくなっていった。
私はどうしてこんなに自信をなくさないといけないんだろう。正しいはずのことが、どうして友達には認めてもらえないんだろう。
私は何も悪いことしてないのに。
悪いのは向こうなのに。
今の自分ならそこまで悩まなかったかもしれない。
だけど、そのときのミカは絶対的な肩書きに走ってしまっていた。
絶対的な肩書きさえあれば、せめて心は堂々としていられるんじゃないか、って。
私の正しさが、本物になるんじゃないか、って。
それでミカは生徒会役員に立候補したのだった。
そこから先に、どんなことが待っているかも知らずに。
まず、その世界に飛び込んでみると、そこにいる人たちと自分との差にがく然とさせられた。
生徒会役員にいた人間は、がっつり校則違反しちゃってるようなギャルやヤンキー系の人ですら、一目置いているような優等生ばかりだった。
もちろん、ミカのようにもともと自信のなかったような人はここには一人もいなかった。
それがますます、ミカの気持ちを小さくさせた。
その上、あんなに欲しがっていた肩書きに苦しめられることになった。
生徒会役員になって、クラスのみんなからはかえって敬遠されるようになった。
まるで、軽率で頼りないミカの気持ちを見透かしたかのように。
今になれば理由なんて痛いほどわかる。
素質もないのに優等生ぶって、肩書きだけに頼っては「私はみんなとは違う」みたいなこと思ってたんだから。
今までかろうじて守ってきたミカのプライドはもうズタズタだった。
そんなミカの前に現れたのが、ミカの例の彼氏にあたる人だったのだ。