太陽に手を伸ばしても
「…で、まあそこからいろいろあって別れたわけ」
途中で急に面倒くさくなってしまったのか、ミカさんは手をひらひら振って適当に話を切り上げた。
「え?なんですか、今の。最後だいぶ雑すぎません?」
「いいのいいの」
「いや、でもちょっと。別れたって言いましたけどまだ付き合ってもないじゃないですか。さすがにまずいです」
「まあ、あの後ライトとは普通に付き合ってたんだけど、」
ライト?
………………ライト。
耳に違和感なく滑り込んできた発音がゆっくりとカタカナから漢字に変換されていく。
…ら、頼斗!?
「今、頼斗って言いましたよね?」
ミカさんは、あっ、と小さく叫ぶと、
「言っちゃったね、恥ずかしい」
と肩をひそめて小さく笑った。
が、
「頼斗って、あの、ひょっとしてなんですけど、土方、頼斗ですか?」
と僕が聞いた途端にみるみるうちに表情がこわばっていき、
「もう、いいや。話聞いてくれてありがと。私、このあと友達来るからもう行くね」
そう言ってミカさんは急に立ち上がった。