太陽に手を伸ばしても
「え、ちょっと待ってください、どういうことですか」
「もういいの。この話はおしまい」
僕には目も合わせず、ミカさんは持っていたペットボトルを思いっきり、ゴミ箱に投げつけた。
「今まで私がした話、聞かなかったことにして」
「それはできないです。ミカさんの彼氏さんが、土方頼斗なら、もっと無理です」
「心配なんて、かけられるわけないでしょ」
「…え?」
「私、今度、手術するの。私、どうなるかわかんないんだってさ」
こっちをやっと向いたミカさんはそれだけを言い放つと、大股歩きで僕の前から姿を消してしまった。
本当にあっという間のことだった。