太陽に手を伸ばしても
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「あ、それ、」
それ、のところで言葉をつまらせた頼斗は僕から慌てて視線を外す。
「ちょっと待って。それって、西川、ミカだよな?」
珍しく頼斗はテンパっていそうだった。
「いや、苗字まではわかんないけど」
「えええ…ちょっと待てよ…。」
頼斗の声がどんどん小さくなっていく。
でも、結局たぶんそういうことなんだろう。
…やっぱりそうだったんだ。
ミカさんは頼斗の彼女だったのだ。
「よかったじゃんか。なあ、彼女の居場所も見つかったわけだし」
机に座っている智己が頼斗の肩をたたく。
「うーん、まあ、そうなんだけど…」
そういえば僕はあの出来事の次の日、無事にあの病院を退院した。
あの朝受けた検査は全て異常なしだったから、もうこれ以上いる必要がなかったのだ。
その間、2泊3日。
今度僕たちが行く修学旅行と同じ短さだ。
「いや、居場所わかったのはいいんだけどさ、病院、なんだよな?あいつがいるのは。…それが、ちょっと、な…。」
頼斗はいつもの堂々とした様子は影もなく、すっかり肩を落として小さくなってしまっている。
ちょっと、とは口では言っているけれど、ちょっとどころじゃない落ち込みようだ。
確かに居場所がわかったとはいえ場所が場所なのは確かなことだけど。
「え、あいつ、俺のこと、なんか言ってた?」
頼斗が僕にせまってくる。
なんだか本当に余裕がなさそうだ。
「いろいろあって別れた、って言ってたけど」
「…何にもなかったけどな、…それで?」
頼斗はなんだか不満そうだ。