太陽に手を伸ばしても
「ていうか、そのことを僕に知らせたくないばっかりに別れようとしたみたいなんだよな」
「…ん、どゆこと?」
「付き合ってるとさ、結局、入院してることを言わなきゃいけなくなるじゃん。それがあいつはどうしても嫌だったらしいんだよ、あいつのプライドが許さなかったんだろうな」
ミカさんの強そうな目がふと思い出される。
甘えたり頼ったり、弱さを見せたりしなさそうな、そんな目をしていた。
ミカさんが頼斗と別れようとしたのは、弱みや不安感の溢れそうな様子を見せることで、そんな自分自身の強いイメージを崩したくなかったから、なのだろうか?
「…やっぱりミカさんって、強いな」
何も知らない僕は、手放しに感心してしまった。
「いや、ミカは」
頼斗が言いかけたその時、ちょうど料理が運ばれてきた。
頼斗のは美味しそうなドリアだ。
ただ、少し量が少ないような気もする。
僕はいつも通りピザを頼んだ。
これも少し、量は少ない。
でも、すごくいいにおいがした。
「うまそうだな」
僕は言った。
「弱いよ、ミカは」
頼斗は鈍い僕の言葉には反応せずに言った。
「弱い…か」
意外な言葉に僕は首をかしげる。