太陽に手を伸ばしても
「弱い、かなぁ」
「だけどさ、すごくえらそうなしゃべり方だっただろ」
頼斗はそう言いながらスプーンとフォークを手に取り、僕にフォークを手渡した。
「えらそうな、って言うか、ずっと歳上だと思ってた」
頼斗が笑った。
「で、同い年ってことがわかってからも、なぜか僕はずっと敬語でしゃべってた」
頼斗がさらに声を大きくして笑った。
「あー、あの人なんかしゃべりにくかっただろ、えらそうだし、高圧的だし」
「いや、まぁ、な」
「でもかわいそうだよ、初対面の人にはあんな風にしか話せないんだから」
あんな風、ってどういうことだ?
年上みたいに、強そうで、ちょっと高圧的、、、ってことなのだろうか。
「めんどくさそうな奴とか思ったかもしれないけど誤解しないでほしいな、あれがミカのなりたい自分なんだろうから」
僕が固まっていると、頼斗は僕の前に置かれたままのピザを指差して言った。
「ごめん、冷めるから食べよ?」
この何気無い言葉が、頼斗なりのミカさんを守る言葉だってことは、当然その時の鈍感な僕には気づけるはずもなかったのだった。