太陽に手を伸ばしても
オオカミ少年








まだ気温の上がりきらない早朝、それにもかかわらず浮かれた声たちの響く駐車場。


ひしめきあうバスの間を縫うように、僕と智己は折りたたんだプリントを片手に駐車場をうろつき回っていた。




「おい、俺らどうしてこんな小っこい駐車場で迷わなきゃいけねえんだよーーー!!なあ、陸!!」


智己はテンションが高いままイラついているので無駄に声が大きい。





「そもそもさあ、高2にもなって駅で待ち合わせって何なんだよ!!まじで!!」


「おかしいか?」


「いやいや、おかしいだろ普通に。現地集合でよかったんじゃね」


確かにそれもそのはず。

集合場所は学校の駐車場なのにもかかわらず、僕たちはなぜか学校の最寄り駅で待ち合わせしていたのだから。




「あ、あれじゃねーか?」

智己は目を見開いて向こうの方のバスを指さす。



「いやいや、あれは違うかなあー」

僕は智己が差した指を強引に元に戻させる。


喋り方がいかにもそらぞらしくなっちゃったけど、まあ、なんとかなるだろう。

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