太陽に手を伸ばしても



智己にサプライズで誕生日を祝おうということになったのは、この前、ファミレスで頼斗と例の話をしていた時だ。


思い付いたのは僕だけど、頼斗の行動力がなければあんなすごいこと、とてもじゃないけどできなかった。

さすが頼斗だ。




まぶたがいよいよくっつきそうになってきた。









遠のく意識の中で、僕はふと思った。


千夏に告白するなら、この修学旅行のうちが絶好のタイミングかもしれない。
だって、こんなに楽しくて幸せな雰囲気のまま伝えられたら、そこまで気まずくならないんじゃないだろうか?



千夏だって変に悪がらないかもしれないし、僕だって当然の結果を聞いたとしても、さほど悲しまないだろう。




僕が一歩を踏み出せなかったのは、事実を受け入れるのか怖かったからだ。 
それがたとえ、もうとっくの昔からわかっていたことだとしても。





だけど、今なら言える気がするんだ。
浮かれてて楽しい、幸せな気分のうちに。




僕は、今度こそ千夏に告白しよう。



チャンスはこの修学旅行の間だけだ。

そうじゃなかったら、もう本当に一生言えない気がした。




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