幸せの出会いかた
4
今担当している仕事は、扱う数字がとてつもなく大きいのだが、内容は、小さな営業所の時とほとんど変わりがなく、落ちついて始めることができた。

どんなところでも、人の入れ替わりはある。営業事務職の中間層が極端に少なく、若手を、指導する人材が近くにいないのもあり、苦肉の策で遠路はるばる呼ばれたのだろう。そうとも思える様子だった。

自分より長く勤めている先輩を立てながら(なにしろ変なところから来た新参者だから)、若手補佐をしつつ、もう一つ任された仕事を、少しずつしている。
それは、今のやり方を客観的に見て、まとめ、私なりの提案をすることだった。

元営業所長は、実際業務している人目線で、なるべく誰もがやりやすい営業事務スタイルを作り上げたいようだった。

所属する営業さんの人数も、日々こなす案件数も多いので、今の形では、自転車操業に近いのは感じる。

さて、どうまとめようか?


考えを巡らせている時、ふと、元彼のことを思い出した。


(そういえば、これまでのやり方に不満を持ち、やりやすいようにしたいっていっていたな)

そんな役回りが自分に来たことに、なんだか、さみしくなった。

(こんな事で思い出すとは)

年数が立たないとできない仕事もある。

はぁ〜と一人息を吐き、帰る支度を始めたのだった。

< 15 / 23 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop