幸せの出会いかた
改札へ向かう人たちの波が過ぎた。
左側の髪が少し引っ張っられる感がある。男性が解こうとしているようだ。
本当に引っかかっているのだろうか。
状態を把握しておきたい。
「すみません、どんな状態なのか知りたいため、いったん振り返ってもいいですか?」
と男性に声をかけた。
「はい、いいですよ」
男性は手を止めてくれたようだ。
左の髪を少し自分で持ち上げながら、ゆっくりおそるおそる男性の方に振り返ってみる。
髪を追い目線を回した先には、本当に胸元の社章に絡まっている自分の髪が見えた。男性の顔も確認したいが、距離が近すぎて、ぐっと見上げなければできず、勇気がでずあきらめた。
「お手数おかけしますが、ほどいていただけますか」と、お願いした。
「はい、社章を外します。ちょっと待ってください。髪抜けたらごめんなさい」
「いいです、気にしないでください」
男性がネジを回したようで、何度か髪が引っ張られたが外れたようだ。からまった髪をなるべく切らないようにネジから外してくれた。髪束が肩先へ落ち、繋がりが取れた。
「お待たせしました。数本抜けてじいましたが、とれました」
しっかりと振り返って男性の正面を向く。
20代後半か30代前半風の、自分より頭一つ分背の高い、眼鏡のスーツ姿の人が立っていた。
左側の髪が少し引っ張っられる感がある。男性が解こうとしているようだ。
本当に引っかかっているのだろうか。
状態を把握しておきたい。
「すみません、どんな状態なのか知りたいため、いったん振り返ってもいいですか?」
と男性に声をかけた。
「はい、いいですよ」
男性は手を止めてくれたようだ。
左の髪を少し自分で持ち上げながら、ゆっくりおそるおそる男性の方に振り返ってみる。
髪を追い目線を回した先には、本当に胸元の社章に絡まっている自分の髪が見えた。男性の顔も確認したいが、距離が近すぎて、ぐっと見上げなければできず、勇気がでずあきらめた。
「お手数おかけしますが、ほどいていただけますか」と、お願いした。
「はい、社章を外します。ちょっと待ってください。髪抜けたらごめんなさい」
「いいです、気にしないでください」
男性がネジを回したようで、何度か髪が引っ張られたが外れたようだ。からまった髪をなるべく切らないようにネジから外してくれた。髪束が肩先へ落ち、繋がりが取れた。
「お待たせしました。数本抜けてじいましたが、とれました」
しっかりと振り返って男性の正面を向く。
20代後半か30代前半風の、自分より頭一つ分背の高い、眼鏡のスーツ姿の人が立っていた。