漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
決着
つぶやいたファシアスの頬に、その手がふれた。
いつしか仰向けに身を横たえていたファシアスは、やわらかく温かいその手の主を見上げる。
アンバーが変わらず美しい金髪をなびかせ、碧眼を穏やかに細めていた。
衣は汚れ、その顔には泥がついている。だが、これまでにないほどに神々しく美しく見えるのは、アンバーの身体を包むようににじみ出る光のせいだろうか。
「ありがとう、ファシアス。でももうおまえをこれ以上傷つけはしないわ」
そよ風のような声で囁くとアンバーはすっくと立った。
そして、エルミドと対峙した。
「これはこれは元『聖乙女』アンバー。自ら戻ってくるとは、そのお心はまだ清心でいらしたのですね。数々の比例の言葉をお詫びせねば」
と気品ある紳士の礼をしてみせたエルミドだったが、やつれきった顔に笑みを浮かべる様からは、貴婦人たちを騒がせた甘い美貌は失われていた。
いつしか仰向けに身を横たえていたファシアスは、やわらかく温かいその手の主を見上げる。
アンバーが変わらず美しい金髪をなびかせ、碧眼を穏やかに細めていた。
衣は汚れ、その顔には泥がついている。だが、これまでにないほどに神々しく美しく見えるのは、アンバーの身体を包むようににじみ出る光のせいだろうか。
「ありがとう、ファシアス。でももうおまえをこれ以上傷つけはしないわ」
そよ風のような声で囁くとアンバーはすっくと立った。
そして、エルミドと対峙した。
「これはこれは元『聖乙女』アンバー。自ら戻ってくるとは、そのお心はまだ清心でいらしたのですね。数々の比例の言葉をお詫びせねば」
と気品ある紳士の礼をしてみせたエルミドだったが、やつれきった顔に笑みを浮かべる様からは、貴婦人たちを騒がせた甘い美貌は失われていた。