漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
異変はすぐに起こった。
ごうごうと震えていた空気が急に静かになったかと思うと、魔力が爆発したように大きくなった。悪魔の手のようにも見えるその爆風は、意志をもったかのようにぴたりと止まると、
「…ぐぁああ!」
エルミドを包み込んだ。
黒布に巻きとられるかのように、魔力がエルミドの身体にぴたりと吸い付く。
もがき苦しむエルミド。
息ができないのか、くぐもった悲鳴が聞こえた。背筋が凍るような狂気がかった悲鳴だった。
ついに恐れていた事態が起きた。
エルミドの身体がじょじょに黒く染まり、形が変わっていく。
秀麗な白肌も金髪も、もはや形跡すらない…。
「なんだあれは…」
ファシアスはアンバーを守るように前に立ちふさがり、驚愕にかすれた声を出した。
現れたのは、忌まわしい暗黒の化物。その言葉にしがたい禍々しい異形は、エルミドの負の感情が視覚化したものだった。
「喰われてしまったのよ…」
アンバーは後ずさることなく立ち、化物と化したエルミドを見据えた。
餌が足りなくなったのだ。
求め過ぎた結果、魔力が大食化し負の感情だけでは足りずエルミド本人をも喰ってしまったのだ。内部からじわじわと―――。
(なぜこのようなことに…)
ごうごうと震えていた空気が急に静かになったかと思うと、魔力が爆発したように大きくなった。悪魔の手のようにも見えるその爆風は、意志をもったかのようにぴたりと止まると、
「…ぐぁああ!」
エルミドを包み込んだ。
黒布に巻きとられるかのように、魔力がエルミドの身体にぴたりと吸い付く。
もがき苦しむエルミド。
息ができないのか、くぐもった悲鳴が聞こえた。背筋が凍るような狂気がかった悲鳴だった。
ついに恐れていた事態が起きた。
エルミドの身体がじょじょに黒く染まり、形が変わっていく。
秀麗な白肌も金髪も、もはや形跡すらない…。
「なんだあれは…」
ファシアスはアンバーを守るように前に立ちふさがり、驚愕にかすれた声を出した。
現れたのは、忌まわしい暗黒の化物。その言葉にしがたい禍々しい異形は、エルミドの負の感情が視覚化したものだった。
「喰われてしまったのよ…」
アンバーは後ずさることなく立ち、化物と化したエルミドを見据えた。
餌が足りなくなったのだ。
求め過ぎた結果、魔力が大食化し負の感情だけでは足りずエルミド本人をも喰ってしまったのだ。内部からじわじわと―――。
(なぜこのようなことに…)