漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
アンバーもファシアスもまた、それぞれの役目を再開させた。

ファシアスは国境の任に戻った。
スファラトの動きはまだまだ看過できないものがあったが、しかし最近ではめっきり脅威が小さくなってきたと言う。
国内で深刻な飢饉が発生したのが一番の原因だが、それをきっかけに国外侵攻にうってでなかったのは『聖乙女』を魔の脅威から守ったというファシアス将軍が国境にいたからだ、と見る意見もあった。


アンバーは宮に戻り、国と民のために祈りの生活を続けている。
四季は規則正しくうつろい、気候はやさしい。国内からは大きな問題や騒動は聞こえてこず、平穏で変わらない日々が続いていた。
だが、それを守っているアンバーの生活自体は大きく様変わりしていた。






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