漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
「アンバーと会うのは良い息抜きになる。そなたはどこか、自由な風を思わせるからな」

「私がですか?」


「ああ」とアーロンは伸びをしながら言った。


「宮に籠っていた頃は未知なる存在で、それこそ神のように近寄りがたかったのに、実際には俺と歳も変わらないし、性格も似ている気がするしな」

「性格が…。そう、でしょうか??」

「ああ。昨日だってお得意の木登りをして城下の様子をうかがっていただろ?見られていないと思っていたようだが、俺の目は誤魔化せないからな」

「な…っ、もう、見てらしたんですか…っ!?」

「なにせあそこは俺の特等席だったからな。王太子の秘密の場所を横取りするとは、さすが『聖乙女』サマだ」

「もう…!」
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