漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
それほど重要な物を一介の武人である自分が持つ重さを思い、ファシアスはなんと返せばいいか分からず頭がいっぱいになった。
そんなファシアスの惑乱を吹き流すように、アンバーは美しい微笑を浮かべた。
『私はこれからこの国と民のためにこの身を捧げるわ。私は『聖乙女』に生まれ変わる。…けど、貴方だけは変わらないで…ファシアス。私を『聖乙女』としてではなく、ただのアンバーとして接して』
あの時に見せた泣き笑うような、それでいて全てを受け入れ包みこむような微笑を、ファシアスはいつまでも忘れられなかった―――胸に感じた鈍い痛みと甘く苦しい感覚と共に。
それは、アンバーへの想いを確信した瞬間でもあった。
そして、この思いはけして報われることは叶わない、と気付いたのも同時だった。
そんなファシアスの惑乱を吹き流すように、アンバーは美しい微笑を浮かべた。
『私はこれからこの国と民のためにこの身を捧げるわ。私は『聖乙女』に生まれ変わる。…けど、貴方だけは変わらないで…ファシアス。私を『聖乙女』としてではなく、ただのアンバーとして接して』
あの時に見せた泣き笑うような、それでいて全てを受け入れ包みこむような微笑を、ファシアスはいつまでも忘れられなかった―――胸に感じた鈍い痛みと甘く苦しい感覚と共に。
それは、アンバーへの想いを確信した瞬間でもあった。
そして、この思いはけして報われることは叶わない、と気付いたのも同時だった。