漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
力強いエルミドの手がアンバーの抵抗をやすやすと封じる。
あまりの恐怖に震えそうになりながらも、アンバーは毅然と声を張った


「無礼者…!こんなことをすれば…私を穢そうとすればどうなるか、王族の貴方が知らないはずはないでしょう!?」


しかし、威厳を持って掲げた言葉を、エルミドは馬鹿にするように一笑にふした。


「『聖乙女』がこうも愚か者だとは思わなかったな」

「…!?」

「穢すな?なにを言うか。もとより貴女は穢れているでしょう?
ファシアス・ソロ・イロアス将軍。
あの武人と接し続けたことで、とうに穢れきってしまっているだろう?」


アンバーは言葉を失った。


(どうしてそれを―――)
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