漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
「やっ…」
拒もうと咄嗟に動いた手もつかまれる。
アンバーの白い首に浮き立つ赤黒い痕を見るなり、ファシアスの顔に怒りの表情が走った。
だが今にも泣きだしそうにうなだれるアンバーに、ファシアスはそれ以上は詰め寄ることはできなかった。こんなことになってしまった原因を思い、罪悪感の鈍い苦しみに苛まれた。
沈痛とした表情を浮かべ、ファシアスは問いを変えた。
「王太子のあの最後の力はなんだ」
「あれは…魔力よ」
「魔力だと?」
聞き返すファシアスの声は不穏だった。武人として魔力と魔力を持つ者の危険性は十分解かっていたからだ。
「ち。あのバカ王太子の考えることだな。魔力を持つ者がどういうことになるのか解かっているのか…」
「あの者は私をずっと狙っていた…。それで…今回の事態をきっかけにして私を『聖乙女』の座から退け…妃にしようと…」
アンバーの手を握る力がさらに強くなった。
ファシアスの怒りを感じアンバーは言葉を止めたが、絞り出すように続けた。
拒もうと咄嗟に動いた手もつかまれる。
アンバーの白い首に浮き立つ赤黒い痕を見るなり、ファシアスの顔に怒りの表情が走った。
だが今にも泣きだしそうにうなだれるアンバーに、ファシアスはそれ以上は詰め寄ることはできなかった。こんなことになってしまった原因を思い、罪悪感の鈍い苦しみに苛まれた。
沈痛とした表情を浮かべ、ファシアスは問いを変えた。
「王太子のあの最後の力はなんだ」
「あれは…魔力よ」
「魔力だと?」
聞き返すファシアスの声は不穏だった。武人として魔力と魔力を持つ者の危険性は十分解かっていたからだ。
「ち。あのバカ王太子の考えることだな。魔力を持つ者がどういうことになるのか解かっているのか…」
「あの者は私をずっと狙っていた…。それで…今回の事態をきっかけにして私を『聖乙女』の座から退け…妃にしようと…」
アンバーの手を握る力がさらに強くなった。
ファシアスの怒りを感じアンバーは言葉を止めたが、絞り出すように続けた。