漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
『生意気言いやがって…!ガキのくせに正義の味方のつもりか!?』

『なによ…!大人のくせに子どもを打って恥ずかしくないの!?こんなにぐったりとなるほど…。……?』


突如腕に重みが増して、アンバーは少年を見やった。
ぐったりとしているその頭から血が止まることを知らず流れている。危険な状態だった。


(そんな…)


腕に重みが増していく。痩せぎすの身体なのに、どこにこんな重さを秘めていたのか…アンバーは震えた声で必死に声をかけた。


『大丈夫?ね、目を開けて?ね…?』


ピクリとも動かない。間もなく突きつけられる残酷な結末を予感し、アンバーは怯え怒りを感じた。


(どうして…どうしてこんなことになるの??まだこんなに小さいのに、こんなひどい目にあって…命まで…!いや…いやよ…)


アンバーは子どもの身体をきつく抱き締めた。


(『聖乙女』が国中に安寧をもたらしてくれるなんて嘘…。不幸な人はまだまだたくさんいる。こんな悲しいこと起こって欲しくない…!力が欲しい…不幸な人々を守っていける力が欲しい…!)


その時だった。
< 78 / 128 >

この作品をシェア

pagetop