漆黒の騎士の燃え滾る恋慕
「悪かった。あんたに負担をかけさせるつもりはなかったんだけどな…。そんなに心配だったか?俺のことが」


涙も蒸発してしまうんじゃないかと言うほどに、アンバーの顔が赤くなった。


「…したわよ。…おまえを失ったかと思ったわ」

「思ったから悲しかったのか?こんなにびしょびしょになって泣くほどに…」


心を見透かすように、ファシアスの声が怪しげに低くなる。
こわれそうに鼓動が高鳴ってアンバーは離れようともがいたが、ファシアスのがっしりとした腕は、アンバーをしっかりと抱きしめて逃そうとしない。


「教えろよ。言っただろ。まだ返事を聞いていないって」


やさしく頬を包んでいた手が、急にアンバーの顎をつかんだ。
そして、鋭い輝きを宿した漆黒の瞳が近づいてきて、


「愛してる、アンバー」


キスをした。
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